通訳になるための勉強法と必要スキルを洗いざらい話してみた

世の中には言葉さえできれば、通訳の仕事ができると思っている方が多いように思います。

特に日本語以外の言葉をまったく話すことができない方にそのような傾向が強いと感じます。英語が多少できる方でもそのように考えている方は多いかもしれません。

しかし、TOEICで満点を取っていても、英検1級を持っていたとしても、通訳として仕事をすることは難しいです。

「英語ができる=通訳の仕事がちょっとだけやりやすい」と考えた方がいいでしょう。

通訳を目指している方、この記事を読んで優秀な通訳を目指しましょう。



通訳になるための必要スキルその1:予習を怠らないスキル

大学生の頃、外国人の学生が大学を見学に来るというイベントがあり、通訳を頼まれたことがありました。私は自分の大学の案内だから、だいたい何を聞かれても答えられるだろうと軽い気持ちで通訳に臨みました。

しかし、この時予習がいかに重要なのかを思い知らされたのです。

しかも、しょっぱなの基本的な部分でつまずきました。

案内をしていた事務の方が「この大学には神学部、文学部、外国語学部、理工学部、経済学部、法学部があり・・・」と話はじめました。

私は、あれ?神学部ってなんていうんだ?とまず、戸惑い

「There are Faculty of Religion, Faculty of Literature, Faculty of Foreign Language, Faculty of Technology, Faculty of Economics, and Faculty of Law」と訳しました。

はい。二つの学部を除いてすべて不正解です。

正解はFaculty of Theology(神学部)、Faculty of Humanities(文学部)、Faculty of Foreign Studies(外国語学部)、Faculty of Science and Technology(理工学部), Faculty of Economics(経済学部), Faculty of Law(法学部)です。

特に学部の名前は大学のこだわりやポリシー、歴史によって大きく変わってくるので、いくら簡単そうな通訳でも、必ず予習しておかなければいけない、ということを学びました。

いくら英語ができたとしても、適切な言葉を知らなければお客様を不快な気分にさせてしまいます。

通訳になるための必要なスキルその2:新しい知識を貪欲に取り入れるスキル

社会人になった際、私は英語ができるという理由だけで、通訳に駆り出されていました。

私の会社は動画を圧縮する半導体をアメリカ人と一緒に開発していたのですが、この通訳が本当に大変でした。

そこで出てくる単語は、「半導体」「監視カメラ」「時間軸」「不可逆的」「圧縮」「伸張」「解凍」「光ファイバー」などなど・・

そしてもちろん、契約の交渉の通訳も担当させられました。そこでは、「仲裁人」「効力」「機密保持」「不履行」などという単語が飛び交います。

通訳に必要なスキルは、自分の知らない、苦手な分野でも、ある程度は話をすることができるよう、常に新しい知識を貪欲に取り入れるスキルが必要になります。

通訳になるための必要なスキルその3:飽きずに訓練するスキル 

私の場合は、なぜかあらゆる通訳を経験することになりましたが、多くの通訳の方々には専門分野があります。法律だったり、ITだったり、国際情勢だったり、政治だったり。

自分の得意分野を確立することができた通訳さんは、相当優秀な通訳さんなのですが、それでも安心は禁物です。

なぜなら、IT業界だけではなく、政治でも法律でも、国際情勢でも、すべての分野が日々変化するからです。

最近、私は環境分野で通訳をすることが多くなってきました。環境分野が得意だったとしても日々、情勢は新しくなります。

パリ協定が締結されたら、パリ協定の中身を知らなければいけません。

世界各国のエネルギーや環境に関する業務を担う省庁の名前と大臣の名前とその発音の仕方も知らなければいけません。

ゴミ処理のあたらしい技術が出てきたら「リバーニング」「溶融固化」という新技術の名前も知らなければいけません。

つまり、常にあたらしい情報を仕入れて、それを英語ではなんというのか、または逆に日本語ではなんというのか、を準備しておかなければならないのです。

通訳になるための勉強法

優秀な通訳になるためには、実は第一線の研究者がやっていることと同じことをしなければいけないかもしれません。

例えば、最新の論文を読む。しかし、論文を読むだけではなく和文に訳してみる。ニュースを通訳しながら見る。

最近はインターネットで簡単に外国語のニュースを聞くことができるようになったので、勉強も簡単になりました。

そして、分からない単語が出てきたら、必ず、単語カードを作りましょう。

作ったカードは分野別に分けておくと、1週間後の通訳は国際情勢だから、国際情勢分野の単語をおさらいしよう、ということができるようになります。

通訳になるための勉強方法は常に最新の情報を入手して、それを訳す練習をすることです。

まとめ

1)通訳に必要なスキルとは

  • 予習を怠らないスキル
  • あたらしい知識を貪欲に学ぶスキル
  • 飽きずに訓練するスキル

2)通訳になるための勉強方法は

  • ニュースを聞きながら内容を訳す、最新の論文を読んで訳すなど、常に最新の情報を入手して、その情報の訳し方を覚えること
  • わからない単語があれば、単語カードを作り分野別に分け、いつでもおさらいができる状態にしておくこと