シンプル・イズ・ザ・ベスト。ラオスで仏のような心になった話

なぜ私はあの時ひとりでラオスに行ったのか。

その答えはラオスの大自然の中で見つけることができました。

人生というものについて考えされられたラオス旅行。

少しマイナーな旅行先ですが、とても印象深かったので今回はラオス旅行について書いてみたいと思います。



何もない何もない何もない

私が訪れたのはラオスの京都と呼ばれるルアンパバーン。赤い屋根のお寺が立ち並び、その美しい景色によって世界文化遺産にも登録されたアジアの中でも最も美しい街のひとつです。

タイやベトナムに訪れる人は多いですが、ラオスはそれらの陰に隠れていてマイナー。

マイナーな国に行くのが大好きな私は「あ、5日間休み取れた。ラオス行こ。」とかなり軽い気持ちでラオスを訪れたのでした。

日本からの直行便はなく、ベトナムのハノイ空港からラオス航空に乗り換えてルアンパバーンへ。まずビックリしたのが「ラオス航空の飛行機、小さい…」ということです。

もちろんラオス航空自体は一般的な大きな飛行機も所有していますが、当時私が乗った飛行機はかなーり小さかったです。座席のスクリーンもなし。シンプルな飛行機でルアンパバーンへと向かいました。

空港からホテルに向かい、さっそく観光することに。ガイドブックによると「プーシーの丘」という観光スポットがある模様。ホテルの近くだったので地図を頼りに歩いて行ってみることにしました。

それらしき場所に着くと長〜い道と階段が。「これを登ればプーシーの丘だ!」と気合を入れて登ることに。有名な場所らしく外国人観光客もたくさん来ていました。

階段がキツく、ぜいぜい言いながら登ること20分。観光客がたくさん集まっていたので「着いたのかな?」と周りを見回すと…そこには何もありませんでした。

ただ「ルアンパバーンの街が一望できる丘」だったらしく、頂上も特に何もなし。

確かに高いところから見る街は綺麗でしたが「なぜここが観光スポットに???」と不思議な気持ちになりました。

「何もないよ〜!!」とアメリカ人観光客の子どもが拗ねていて「確かに」と納得したのを覚えています。

ラオス人ガイドさんに人生の真髄を学ぶ

2日目はラオス人ガイドさんにガイドをお願いして、クァンシーの滝という観光スポットを訪れることに。

日本を訪れたことはないけど独学で日本語を勉強したというノイさん(小柄なのでそう呼ばれているらしいです)の日本語は「えー!」とびっくりするくらい、とても流暢でした。

ノイさんと車でクアンシーの滝へ向かい、滝の見える絶景スポットまで歩くことに。そこでノイさんが今の生活について話してくれました。

ノイさんは8人兄弟の長男で当時35歳独身。今は実家を出て一人暮らしをしているそうですが「実家にいると妹や弟の面倒を見なければいけないし、親に結婚しろって言われるから、今一人で暮らすのはすごく幸せです」と言っていました。

「ああ、ラオスも日本とだいたい同じだな〜」と新鮮な気持ちになったのを覚えています。

フランス人観光客が水着で泳いでいるのを横目に(私が行った時期はフランスのバカンスの時期と重なっていて、かなり多くのフランス人観光客がいました)私たちは絶景スポットを目指します。さらにノイさんはラオス人の教育について教えてくれました。

「ラオスは貧しい家庭も多いです。でもそんな時は下の子どもをお坊さんにします。お坊さんの学校は無料だし、仏教についても勉強できるので、お金のない親は子どもをお寺に預けます」

私はそんな仕組みがあるとは思っていなかったので、とても驚きました。

「街中に子どもの僧侶がたくさんいるな〜」とは思っていたのですが、彼らが金銭的な理由で僧侶をしているということは知らなかったからです。

そしてついに私たちは絶景スポットに。そこで見たクアンシーの滝は、なんとも心洗われるとっても綺麗な滝でした。マイナスイオンたっぷり。心休まる滝の音。そんな綺麗な景色の中でノイさんがぽつりとこう言いました。

「ラオスには何もありません。でもラオス人は幸せな人が多いです。家族と友達を大切にして、のんびり暮らす。それがラオス人の生活です。それよりたくさんのことはいりません。今ある人生が神様がくれた人生だから、それを大事にします。」

その瞬間わたしは「ラオスに来て良かった」と心から思いました。何故か、その言葉を聞いた時に「これを聞くためにラオスに来たのだな」と直感したのです。

まとめ

わたしは数々の国へ旅行に行き、各々の国でホテルのランドリーを頼みました。一番素敵な香りで洗濯物が返って来たのはどの国だと思いますか?

――そう。ラオスです。

大人しいけれどのんびりと過ごすラオス人。一般人はあまり英語を話しませんでしたが、よく「ボーペンニャン!」(大丈夫!)と言っていました。

確かに派手なものは何もない国でしたが、そこに暮らすラオス人の精神からは、日本にいては感じることのできないヒントをもらった気がします。

「またいつか訪れてみたいな」と思う国の一つになりました。