アメリカの幼稚園で働いて痛感した英語で仕事する大変さと感動体験

学生時代、夏休みを利用して私はアメリカサンフランシスコに短期留学をしに行きました。英語を学んでいるからにはアメリカには一度は行っておきたいな、という軽い気持ちで選んだサンフランシスコ短期留学。

色々と情報をリサーチしていると「現地の幼稚園で勤務体験をしよう!」という企画があり、「面白そう!」と参加してみることに。

初めての海外ではないし、英語もそこそこ?と思っていたので、現地で働くことに対しても何の抵抗もなかったのです。

――しかし…そんな自信はアメリカで見事に崩れ去りました。

今回はそんなアメリカでの幼稚園勤務体験について書いて行きたいと思います。

私のアメリカ幼稚園勤務体験

初勤務日の朝。実は私は初日から大遅刻をしてしまいました。

日本ではありえない失態ですが、カリフォルニアのゆるーい感じでなんのお咎めもなく園長先生や他の先生方にも無事歓迎していただくことができました。

園長先生に案内され私が担当する2歳児クラスの教室へ。2歳児クラスの先生は3名。日系アメリカ人のリサ、ハワイ出身のトム、スペイン系アメリカ人のマリナです。子供は10人程度。国籍もバラバラでの子達が集まっているクラスでした。

リーダーのリサに挨拶をしようと近づくと…

「Hi~¥&@@”-/¥&&@””:/-?」

「え?」

なんと「Hi」しか聞き取れませんでした…。

リサの英語は決して聞き取りにくい英語ではなかったと思います。なまっているわけでもなく、難しい単語を使っているわけでもなく、綺麗なネイティヴの英語です。聴き取れないのは…ただの私の英語力不足。

そのショックからか私の英語力はズーンと下がり、日本だったらもう少しスラスラ自己紹介できるところですが

「My name is Riko」

と言うのが精一杯。英語力というのは、英会話教室や授業中など与えられた環境で既に決まり切った英文を口にする力だけでなく、英語を使うという環境で自らのアタマで組み立てた英語を口にする力なのだとその時に痛感しました。

「絶対英語ができない人だと思われた…こんなんで大丈夫なのかな…」

と私はショックでいっぱい。

「英語ができない人だと思われた」というか実際に「英語ができない人」だったのですが、当時は英語力の自信が少しずつ出てきた頃だったので、初日の開始15分で自信がガラガラと崩れていくショックは思いのほか大きなものだったのです。

大人の英語ですら聴き取れないのに、私がネイティヴの子供が話す英語など聴き取れるはずがありません。2歳児なのであまり英語を話さないのかと思いきや、みんな想像していたよりもかなり英語を話していました。

そんな中、クラスはお昼寝タイムに。アメリカでは2歳の子供でもパーテーションを使って一人一人の「部屋」のような空間を作り、先生は決して添い寝や子供を抱きかかえることをせずに、一人で寝かせていました。

すると眠れない男の子アンディーくんが私の元へ。まだ2歳なので「私が英語ができない外国人」だということは到底理解していません。

アンディーくんは大人に甘えたい気分だったのか私の膝の上に。その可愛さに私はメロメロだったのですが、アンディーくんがこんなことを言ったのです。

「teacher Riko, sleep with me」

まず私は初日でアンディーくんが私の名前を覚えて呼んでくれたことに感激。さらに、朝から勤務して初めて子供が言った英語を全文聴き取ることができたのです。

「わーーーーー!!!」

私の心の中は感激と感動と興奮でぐちゃぐちゃに。たったこれだけのことに私の心はかなり激しく揺さぶられたのです。

「そうか…子供にとっては私の英語力と私の評価は関係ないんだな…」

その時の気づきは、私の内面を大きく変えました。私の英語力は、大人にとってはコミュニケーションもスムーズにできない程の低いものでしたが、アンディーくんにとってはそんなことは関係ないのです。

私を頼り、甘えてきてくれるアンディーくんを見て、自分が見失っていたものに気付いたと同時に

「もっと英語力を上げてみんなとコミュニケーションを取りたい!」

と強く感じました。それから私は

「英語がまた分からなかったらどうしよう…」

という怯えの気持ちを乗り越え

「急に英語力は上がらないけれど、少しでも多くのことを貪欲に学んでいこう」

という前向きな気持ちを持つことができるようになりました。

それからと言うもの、私は鬼ごっこに砂場・滑り台と、言葉がなくても子供と一緒に楽しめる遊びをして積極的に子供と関わりました。滑り台の遊具の中に隠れて

「I’m in here!」

という子供。私は日本の英語の勉強でhereやthereの前に前置詞はつかないと思っていたので、子供や先生がそう使っているのを聞いて、大変勉強になったのを覚えています。

――そして私の最終日…

「りこ、ちょっと良い?」

とリサに呼ばれついていくと…

「はい、これっ!」

と大きな画用紙に書かれたカードをくれたのです。カードにはたくさんの可愛いイラストが書かれ、先生たち全員からのメッセージと子供達から、と書かれた「りこ先生ありがとう。大好き!」の文字が。

「あなたは本当に良い先生だった。自信を持ってこらからも頑張ってね」

とリサに言われ、私は号泣してしまいました。英語が分からないなりにも自分で精一杯頑張った成果がこんな嬉しい形で返ってきて、とても嬉しかったのです。

あの頃もっと英語が話せていれば良かったな…と今でも思うことがありますが、あの経験があったからこそ今の私がいるのかと思うと、あの時の先生方にや子供達には感謝してもしきれません。

まとめ

あれから8年…あの時の子供たちはもう10歳なのかと思うと感慨深いです。

この文章をきっかけに当時の幼稚園のフェイスブックのページを覗いてみました。庭も教室もとっても懐かしく、また行きたくなってしまいました。

以上が私のアメリカ幼稚園体験になります。最後までお読みいただきありがとうございました。