「使役動詞」の場面や状況に合わせた使い分けを具体的に解説してみた

英語の文法の中に「使役動詞」というものがありますね。

この「使役」。

なんとなくわかっているようで、いざ使おうと思ったら、なかなかうまく使えないなんてことも良くあります。

でも実は、使役動詞を使いこなせるようになると、より深い英語表現が楽しめるようになりますよ。

そんなわけで、今回は普通のSVOの文とは違う、ワンランク上の表現「使役表現」の動詞とその用法をお話したいと思います。



そもそも使役動詞とはどんな構造?

皆さんは使役動詞というとどんな動詞を思い浮かべるでしょうか?

まず最初に思い浮かぶのはおそらくmakeではないでしょうか。

ここでいきなりgetとかhaveなんかが出てくる人はいいセンスをお持ちでいらっしゃいます。

基本的には学校英語でもmakeを使って「使役の感覚」を最初に英語学習者に紹介していきますよね。

例えば

・Your smile makes me happy.

(あなたの笑顔は私を幸せにしてくれます。)

Make 〇〇 △△ 「〇〇を△△にさせる」みたいな公式で最初は習うのではないでしょうか。

もちろんこれは「使役っぽく」訳したり、使ったりするもので、実際の「使役」ではありません。

「Make 〇〇 形容詞」

という公式で「〇〇を形容詞のような状態にする」という意味で使われます。

教える側も「使役動詞」とは言わず、あくまで感覚のお話で紹介しているわけです。

実際の使役とは「(主語が)誰かに何かを【するよう】に【させる】」という構造になります。

ここでのポイントは動詞が二つということです!

例を挙げると

・He made his son clean the living room.

(彼は息子にリビングルームの掃除をさせた)

といった文があるとします。

動詞はmake と cleanですよね。 

【make】でさせると言っておいて【clean】でさせる内容を具体的に示しているんです。

この構造が「使役」です。

どんどん例を出しますね。

・He made his friend pay for lunch.

(彼は友人に昼ご飯代を払わせた)

・She made her daughter go to see a dentist.

(彼女は娘に歯の治療に行かせた)

※ここでのseeは動詞じゃないですよ。不定詞扱いですよね。つまり二つの動詞は【make】と【go】です!

こんな感じでキーワードmakeにもう一つの動詞を加えて「使役」の表現ができるのです。

 

ちなみに主語が「させる人」で「する人」は2番目の動詞の前の人です。

・She made her husband wash the dishes.

(彼女は旦那に皿洗いをさせた)

主語⇒she 「させる人」

二番目の動詞の前の人⇒wash「する人」

こんな感じです。どうです?まずは使役の構造が理解できましたか? 

他にもある使役動詞の数々

次にmake以外の使役動詞についてお話します。

まず【have】、そして【let】それから【get  to~】です。

メジャーなところで言うとこの3つです。

ただ使い方(構造)はどれも同じ(【get  to~】だけ少し説明がいりますが)です。

1つずつ例を示して見ていきますね。

【have】の場合

・I had the barber cut my hair instead of my mother.

(僕は母親の代わりに床屋さんに髪を切ってもらった)

一つ目の動詞【have】 二つ目の動詞【cut】

【let】の場合

・I let the barber cut my hair instead of my mother.

(僕は母親の代わりに床屋さんに髪を切ってもらった)

一つ目の動詞【let】 二つ目の動詞【cut】

【get  to~】の場合

・I get the barber to cut my hair instead of my mother.

 (僕は母親の代わりに床屋さんに髪を切ってもらった)

一つ目の動詞【get】 二つ目の動詞【(to) cut】

※この場合は二つ目の動詞は原形ではなくてto 不定詞にします。

 

いずれもmakeの時と同じように一つ目の動詞で「させる」と言っておいて、二つ目の動詞で「具体的な行動」を表しているんですね。 

そしてすでに皆さんもお気づきだと思いますが、訳してみると意味は同じなんです。

では何故このように違った言い回しができるのでしょうか。

これはシチュエーションの違いがあるからなんです。

結果が同じでも場面によって使い方が異なる!

これまで「使役」動詞の種類のお話をしてきました。

ここからは場面によって使われる動詞が違うということに注目してお話をします。

そんなに難しくありません。ポイントはただ1つ!場面です!

先ほどの例文をもう一度使いますね。

・I made the barber cut my hair instead of my mother.

(僕は母親の代わりに床屋さんに髪を切ってもらった)

【場面⇒床屋さんに無理やり髪を切らせている key wordは「強制」】

(あまり無いとはおもいますが、相手の意思に関係なく自分の思い通りにやらせるという感覚です)

 

・I had the barber cut my hair instead of my mother.

(僕は母親の代わりに床屋さんに髪を切ってもらった)

【場面⇒私の当然の権利として床屋さんに髪を切らせている key wordは「権利」】

(今までは母親に切ってもらっていたけど、自分でお金を払っているから当然でしょっていう感覚です)

 

・I let the barber cut my hair instead of my mother.

(僕は母親の代わりに床屋さんに髪を切ってもらった)

【場面⇒床屋さんが切りたいと言っているから髪を切らせている key wordは「許可」】

(床屋さんが私の髪を切りたいって言うもんだから、やらせてあげったっていう感覚です)

 

・I get the barber to cut my hair instead of my mother.

(僕は母親の代わりに床屋さんに髪を切ってもらった)

【場面⇒床屋さんに頼み込んで床屋さんに髪を切らせている key wordは「説得」】

(この床屋さん髪切りたくないんです。笑 そこをなんとか説得して切ってもらってるという感覚です)

 

このように床屋さんに髪を切ってもらうのでも場面・状況によって違いますよね。

使役動詞の世界ではこのように場面や状況によってうまく使い分けているんです。面白いですよね。

使役動詞についてのまとめ

これまで使役動詞について

  • 使役とはどんな構造なのか。
  • 実際に使役動詞として使われる動詞の紹介。
  • 結果が同じでも場面によって使い方が異なるという使い分け

についてお話してきました。

これはあくまでも使い方であってすぐに使い分けができないかもしれません。

それでもこの使い分けが馴染んでくるといろいろな表現がそれこそ無限にできるようになって、ネイティブの感覚に近づけると思います。

このような表現を味わえるようになると楽しいですよ。