日本語で「使い切る」という言葉の意味を、まず改めて辞書で引いてみましょう。
砂糖を使い切ってしまった、このノートは使い切った、予算を使い切った、など「与えられたものを全部使ってしまう。使い尽くす」という意味です。
同じ「全部使ってしまう」でも、「使い切る」と「底をつく」は英語では違うフレーズがあります。
どのような違いがあるのか、どんな場面でどちらを使うのかなどを見ていきましょう。
「使い切る」は英語でどんなフレーズ?
「使い切る」を表すスレーズは、
・use up
です。
とても簡単な単語の組み合わせなので、覚えやすいし言いやすいですね。
でもこれらの簡単な単語の組み合わせでできている英語のフレーズはとても多いので、いくら簡単といっても混乱してしまうこともあるかもしれません。
そこで、この「up」がつくフレーズは、大抵は「徹底して何かを行う」「全部」というニュアンスになる、ということを覚えておいてください。
例を出すと、「give up(諦める)」 「lock up(戸締りする)」 「messed up(失敗する)」「 eat up(食べ尽くす)」などがあります。
一つずつ見ていきましょう。
「give up(諦める)」=断念する、仕方がないと思い切る、ということですから「徹底して」いることですね。
「lock up(戸締りする)」=全部戸を閉める、ですのでこれも「全部〜する」のニュアンスがあります。
「messed up(失敗する)」=これはスラングになりますが、めちゃくちゃになる、大失敗という意味ですから、「徹底して」駄目になったという事です。
「 eat up(食べ尽くす)」=平らげてしまう、ですから「徹底して」「全部」食べてしまうということですね。
このように、ある単語の後に「up」がついたフレーズは、「徹底して何かを行う」「全部」のニュアンスがあると覚えておくと、混乱しにくくなるかもしれません。
つまり「使い切る」は、「使う」という意味の「use」に「徹底して何かを行う」「全部」の「up」がつきますから、「全部徹底して使う=使い切る」になるというわけです。
例文を上げてみると、
などとなります。
「底をつく」のニュアンスは?
もう一つ、「全部使ってしまう」という意味合いのフレーズ、
・run out
があります。
こちらは「使い切る」とも言えますが、どちらかというと「底をつく」というニュアンスになります。
詳しく見ていきましょう。
「use up」の「使い切る」とどう違うのかというと、「use up」は、「使い切ってしまう人」に視点が置かれているのに対し、「run out」は「使い切ってしまったもの」に視点がある感じです。
なんだかわからないですね。例文を挙げて見ていきますよ。
どちらも、「お金を使い切ってしまった」という意味です。
でも、「use up」を使った「We’ve used up money.」は、「私たちはお金を使ってしまった。」と、「私たち」に視点があるのです。
一方、「run out」を使った「We’ve run out of money.」は、「お金が底をついてしまった」というふうな「無くなってしまったお金」に視点があります。
なぜかというと、「run out」を使うときは、前置詞である「of」を入れてから目的語が来るため、「run out of 〇〇」で一つのフレーズになるので、「使い切ってしまった〇〇」に視点が来るわけなんですね。
ですので先ほどの例文、「Can I use up all the honey? (はちみつ使い切ってしまってもいい?)」の「use up」を「run out」に置き換えてみると、
となって、不自然なわけです。
「私」に視点のある「私がはちみつを使い切ってもいい?」なので、「use up」を使うべきでしょう。
「run out」を使ったよくある表現としては、「run out of water(水がなくなる)」、「 run out of fuel(燃料切れ)」、「 run out of steam(息切れする)」などがあります。
まとめ
同じ「全部使ってしまう」でも、場面によって微妙な違いがありましたね。
・use up
は、「使い切ってしまう人」に視点がある「使い切る」。
・run out
は、前置詞である「of」を入れてから目的語が来て、「使い切ってしまった〇〇」に視点があります。
状況によって、ニュアンスの近い方を使ってみてくださいね。